先日、兄が亡くなりました。兄は結婚しておらず子供がいません。父も既に亡くなっていますが、まだ母が生きているので、母が相続人になると思います。
兄には資産は何もありませんが、兄の自宅を整理していたらクレジットカード会社の明細がありました。後で何が出てくるか分からないため、母も私も相続放棄をしたいと考えています。
今回のケースでは、被相続人(兄)に第一順位の子がいないということですので、第二順位の直系尊属(母)、第三順位の兄弟姉妹(弟)の順番で家庭裁判所に相続放棄の手続をします。
相続権は第一順位、第二順位、第三順位と順番に移っていくので、先順位の相続人がいないか、もしくは相続放棄していなければ相続権が回ってこないので相続放棄したくてもすることができないのです。
~直系尊属の相続放棄~
相続放棄の手続をする場合、家庭裁判所に提出する書類の中に”戸籍謄本”というのがあります。これで相続人であることを裁判所に説明することになります。
相続放棄する人が、配偶者や子の場合は、同じ戸籍に入っている場合や、戸籍がつながりが近いことが多いので、戸籍の収集自体はそこまで難しいことではありません。
ただし、第二順位の直系尊属が相続放棄する場合は、まず、第一順位の子がいない、もしくは全員が相続放棄していることを裁判所に説明しなければならないため、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本をすべて取得して被相続人の相続関係を明らかにしなければなりません。
転籍が多かったり、戸籍の古いものになると手書きのものがあったりと、戸籍を収集するのに労力と時間がかかってしまいます。
~兄弟姉妹相続の相続放棄~
直系尊属の相続放棄手続が完了すると、次に第三順位の兄弟姉妹に相続権が移ります。
ここで初めて、兄弟姉妹は相続放棄をすることができます。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本に加えて、第二順位の直系尊属(父、母、祖父、祖母など)がすべて亡くなっている、もしくは相続放棄していることを家庭裁判所に説明する必要があります。
~まとめ~
以上、第一順位の子の相続放棄と比べて、第二順位の直系尊属と第三順位の兄弟姉妹の相続放棄がなかなか大変ということがお分かりいただけたと思います。
戸籍を集めるのに時間がかかってしまい、気が付いたら相続放棄の期限を過ぎていたことがないように、相続放棄でお悩みのお方は早目に当センターまでご相談ください。